明けましておめでとう御座います。
正月には色々な事を考える。
時間的に余裕があり、新年と言う事もあって自分なりに一年間の目標みたいなものを漠然と考えたりもする。
今年は、リーマショック以来の不況のせいもあって、年末年始の実感があまりしないと言うのが実情である。

正月の行事も年々簡素化していく。
簡素化していく事が必ずしも悪いとは言わないが、それだけ一年間が平担化して、
最終的には人生そのものが平担化してしまうような気がしないわけでもない。
ともあれ、我が家では正月元旦は必ず『年とり』の儀を行う。
『年とり』と言っても???って人も多いかと思うが、
私が子供のころはどこの家でも普通に行っていた。
現在は『満』年齢で数えるので、誕生日に一才『年をとる』訳だが、
『数え』で年齢を数えていた頃は、正月元旦(地域によっては大晦日)に1歳『年をとる』訳である。
『数え』では生まれた時にまず一才になり、次に迎える正月で2歳になる。
私の場合、12月11日生まれなので、生まれて一か月と経たないうちに『数え』の2歳になることになる。
で、正月元旦に家族全員で一歳『年をとる』儀式が『年とり』である。

『年とり』を行うためにはそのためのお飾りや料理が必要である。
お飾りとは『年神様』を迎えるためのものである。
まずは鏡餅、昔は色々な神様にお供えする、いくつかの鏡餅を供えていた。
基本は全て半紙の上に、二段重ねで、間や下にウラジロやユズリハ等を敷き、最上部にはミカンや干し柿等を載せていた。
一番大きな年徳神様用の鏡餅の上には尾頭付きのイワシを丸ごと一匹載せる。
正しくはその年々の
恵方(歳徳神の在する
方位)にイワシの頭を向けると聞いていたが、
その恵方は我が家では現在考慮していない。
他の神々もその素性に応じた餅の形や供え方等しきたりがあるのだが、
私自身それらをもう把握していないので、以下総代で一つ作る位だ。

もう一つ重要なお飾りがある。
お米一升と、縁起ものを飾り付けたお供えである。
橙、ところ芋、炭、昆布、と正月ミカン、干し柿等を一升の精米した新米の上に飾る。
『代々所に住みつき喜ぶ』と言うのがゴロ合わせである。
そして、『年とり』にかかせないのが、お屠蘇と以下の三つの品である。
①スルメと昆布をつまめる大きさに裂いたり切ったりしたもの(食塩を少々添える)
②紅白なます(いりこを上に少々乗せる)
③竹輪の輪切り
お屠蘇を戸主から順にいただき同時に上の一品を一口づついただく。
①、②、③、と順に全員盃を回して、基本的に『年とり』の儀を終了する。
その後、お飾りから、蜜柑や干し柿等好きなものをいただき、後は各自新年の抱負などを言っておせちをいただく。

こんな事を書いているだけでも、ずいぶん昔からの風習をないがしろにしてきているのを実感する。
今度じっくり母に、昔の『年とり』を聞いてみようと思う。
我が家でどこまで再現するかは別として、私のご先祖様が受け継いできた文化(風習)である『年とり』を少し真面目に調べてみたいと思う平成22年の正月である。
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